「俺さぁ、
高校の時進路に迷って。
当時の彼女に黙って、アメリカの親父の会社継ごうとしたのね。
あ、
彼女は波奈っていうんだけどさ、
めっちゃ美人だったんだー。」




波奈さんの話をする切原さんは、
すごく優しい顔をしている。




「進路どーすんのって聞かれて、
アメリカの話したらさ、
何で相談してくれなかったの?!って。
怒られちゃった。」




「彼女なら言ってほしいものですよ…。」



「だよねー。
当時の僕は波奈に言って、
付いていくって言われるのがこわかったんだよ。
失敗するかもしれないし、
波奈を幸せにできる自信ないし…。」