「じゃぁ、
お兄ちゃんは今から会議だから。」
陽翔はそう言うと、
嵐の如く帰っていった。
「何で私と婚約者になったの…。
叔父様に弱みを握られてるの?」
「別に。
弱みはない。」
じゃぁ何でこの人は勝手な縁談を引き受けたのさ?
「なんででしょうか。」
知ったことないわよ!!
「そうそう。
これ、渡さなきゃいけねーんだった。」
そう言うと彼は、
ポケットから何かを取り出した。
「家の鍵。」
「家?
鍵なんて必要ないよ。
陽翔の家に住む予定だから。」
荷物も送ってあるし、
この人の家に用はない。
「お前、
聞いてねーの?」
「はい?」
「今日から俺の家で暮らすんだよ。
陽翔っていうオマケ付きだけどな。」

