日向が口を開いた。
「俺、ずっと瑠華が好きだった。瑠華はいっつも笑顔で俺の側にいてくれた。」
優しい笑顔で、日向は喋る。それを見た私は”瑠華”の存在がどれだけ大きいかわかった。そして、どれがけ好きだったかも。
「あいつも、同じ高校に入る予定だったんだ。真田、佐々木。その間に入るはずの笹原。瑠華の名字。俺の後ろはいつも瑠華がいてさ。その後ろに那月だった」
寂しそうに話す日向。この時の日向には私はいなかった。もちろんこの時の私にも日向はいなかった。
「けど、入学式の前に事故を起こした瑠華はそこにいるはずもなくて、俺の後ろにはお前、美羽だったんだ。俺は人と関わる気なかったけど、那月に声かけられてお前と話して自然とお前と関わることができた。」
私は、涙がでそうになった。日向が笑っていたから。笑って話してくれたから。
「お前がさ…俺を救ってくれたんだよね」
そんな…そんなの…
「私が日向を…?」
日向…どうしよう…やっぱり好き。
「あぁ。送って行こうとしたのも、旅行についてくっていったのも美羽だから。」
この言葉で私は涙が溢れそうになった。けど、泣かないって決めたから。
「美羽…今俺の中にはまだ瑠華のほうが大きい。だから、だからさ、瑠華が小さくなって美羽が大きくなるまで…待っててくれる?」
決めたのに、決めていたのに。
日向の優しい声。笑顔。そして、待ってての言葉に、涙は溢れた。
「日向…待ってていいの…?私、ずっと待ってる…。私は日向の前から消えたり…しないよ」
涙でぐしゃぐしゃだけど、笑顔で私は日向に言った。
日向も笑ってた。
「ふはっ…顔、ひでえぞ」
うるさいよ日向。日向のせいだよ。
日向が私を泣かせたんだからね?
「ばーか。」
笑ってる。私も日向も。
「うっせ。はーあ、腹減った。なんか食ってかね?」
その誘いを断る理由はどこにもなく、
「うんっ!」
日向、私日向が大好き。だからね、日向がどんな過去があって、今、私を好きじゃなくてもいい。だって私は結局”佐々木日向”が、大好きだから。
この話はいつかきっと、伝えるね。
それが大人になった日向かもしれないし、おじさんになった日向かも。もしかしたらおじいちゃんになった日向かもしれない。
それでもいい。いつまでも日向の側にいる。
絶対に。
