誰からも起こされることなく、寝過ぎだと言われそうな程眠り続けて目を覚ました時には、もう午後五時となろうとしていた。

 食事も摂らずによくここまで眠り続けられたものだ。自分に感心する。

 家の中には人の気配がない。今日は土曜日、丁度良く寝ていた私を置いて、三人でどこかに出掛けでもしたのだろうか。

 御手洗いに行った後、空腹に耐えかねてキッチンへ向かった。カウンターにはサンドイッチが置いてあり、夜は三人で食べてくるから冷蔵庫の中のオムライスを食べてね、とメモが添えてある。

 思った通りだ、読み終わったそれを私は、昨日の葉と同じようにごみ箱に捨てた。

 空腹状態は暫く放置すると胃が縮んでしまう訳で、サンドイッチを食べきったところで胃は限界に達した。

 テレビをつける気分にもなれず、部屋に戻ろうとキッチンを出たところで、タイミングよくチャイムが鳴る。


「宅配便でーす」


 いつものおじさんの声でないことに少し驚きながらも、昨日送られてきたばかりなのだから今回は関係ないものなのだろうと、素直にドアを開ける。

 口元に当てられた布、匂いは少し、甘い――

 程なく意識を手放した私は、宅配便を名乗ったその男性の腕に抱えられ、車に乗せられた。