特に止められることもなく壁のおよそ上半分を占める窓を開け、殊の外眩しい朝日に目を瞑りながらも、暫くぶりにまともに外気を吸った。

 しかしそれが胃酸に水分を掠め取られた喉には応えて、急激に咳込む。


「あぁちょっと、喉やられてるんじゃ…ちゃんとうがいしないと」


 彼の誘導に従って、ゴホゴホと咳を繰り返しながらもキッチンに辿り着き、コップを受け取りうがいを繰り返す。

 やっとのことで身体が落ち着いたと思ったら、次はまた微睡む意識。疲れが一気に押し寄せる。


「……ごめん、また寝ても…いい、かな」


 口先では何とか喋りつつも、既に視界は霞んできている。

 答えを聞くより先にベッドの方へ向かった私に、どうぞどうぞ、とおどけたように言った彼。


「ありがとう、……あの…」


 まだ一つ、聞きたいことが。

 予定外に切れた台詞の先に、続ける筈だったもの。


 私、まだあなたの、―――