『千紗へ

この手紙読んでる時、俺はまだ生きてっかな。
いや、もう居ないかもしれない。
そしたら、千紗は絶対泣くんだろうなって思いながらこれ書いてる。

千紗、ごめんな。
急にこんなことになって、驚かせて、心配かけたよな。

自分が病気だって知った時、すぐに病院に行くべきだと思ったんだ。
でもちょうど文化祭の時期と重なって、どうしてもそれは譲れなかった。
初めて千紗と回れる文化祭だったから。
だから俺が自分で決めたんだ。

病院に行く時期も、手術も、この運命も。

でもさ、やっぱり後悔した。
日に日に自分が死に近づいてってることに怖くなって、何でもっと早く病院に行かなかったんだろうって。
そしたらこんな事にならなかったかもしれないって。

けどいくら後悔しても運命って変わらないんだよな。
だから俺は書ける時にこれを書くことにした。

千紗、俺がもし死んでもそれはお前のせいじゃないよ。
何も責任感じなくていい。
病気はお前とは関係ないんだから。

だから、笑え。
もし死んだらずっとお前の側で見てるからさ。

あと、佐々木だっけ?

アイツ、何気にいい奴だな。
お前の言う通りだったわ。

アイツならお前を任せられる気がする。
幼馴染の俺が許す。

だから自分の気持ちに正直になれ。
んで、幸せになれよ。

幸せになれ。

瑛司』