17歳─恋のはじまり─

「そうだな…」


ボソッと返ってきた
短い返事。

真っ青な空に
暖かい風。


本当にもう春なんだね。


「…瑛司も、空で笑ってるのかな」

「笑ってんじゃね?あいつのことだから」



それかお前のこと
心配そうに見てるかもな、

そう言いながら
佐々木くんが笑った。


「…っ、」


佐々木くんのこんな笑顔
久しぶりに見た。

千紗がグッとスカートを
握りしめて、

口を開く。


「…もし、待つのが嫌になったら…言ってね」


小さい声で漏れた言葉。
佐々木が千紗を見た。

ハッキリと聞こえなくて、
佐々木の顔が歪む。


「何?」

「いや…だから、待つのが…嫌になったら…言って、ね」

「………」

「ほら、いくら待つって言っても…いつまで待つことになるか分かんないし…だから…」

「…ばーか」