17歳─恋のはじまり─

「千紗ちゃん、佐々木くん…遅くなってごめんね。おばさん達少し出てるから、拭いてあげてくれる?」

「…は、い」



そう言うと、

おばさんはおじさんに支えられて
病室から出て行った。


すると、

「はい」

看護師さんがあたし達に
蒸しタオルを差し出して。


「身体は終わってるの。着替えも終わったし、あとは顔と手だけよ」

「顔と、手…」


千紗が視線を蒸しタオルから
瑛司へと移す。

そこには眠ってるようにしか
見えない瑛司が居た。


震える手で、
蒸しタオルを瑛司の顔に当てる。



「……っ」


次第に目に涙が溜まって
視界がぼやけて。

ポタッと涙が瑛司の
頬に落ちた。