17歳─恋のはじまり─

真っ暗な外。

白い息を吐きながら
佐々木が複雑な表情で歩く。


本当は、

幼馴染っていう立場の
アイツが羨ましかった。

特に理由がなくても
側に居れるアイツが。


だからアイツが
居なくなればとさえ思ったことがある。

だけど都築が泣いたんだ。


アイツの側に居ることを
都築は選んだ。

それだけ大切な奴なんだよ、
お前は。


「っ、」

都築には、

あの時の俺みたいに
後悔はしてほしくない。


大切な奴と何も話せないまま
会えなくなるようなことは

してほしくない。


心にモヤがかかったような
この感情をどうすればいいのか、

分からなくて。

ただ、俺は

高倉から預かったものを
眺めていた。