17歳─恋のはじまり─

フワリと千紗の香りがして
胸がぎゅっ、とした。

自分の将来が
いつか無くなるなんて、

俺だって考えたくない。


だけど……、

日々身体が変化していく中で
現実を思い知らされるんだ。



「俺だって……、俺だって…嫌だよ…」

「……!」

「俺だって、こんなこと考えたくねぇよ!」



その瞬間、

瑛司がぎゅっ、と
あたしを抱きしめた。


瑛司の肩が震えてるのが
分かって。

あたしの目から
ついに涙が溢れる。


「何で…、俺なんだよ…!」


苦しさと
悔しさと

悲しみが含まれた
瑛司の声に、


あたしは何もしてあげられない…