17歳─恋のはじまり─

「…言えない」

「…へ?」

「だけど、お前は行くな!」

「…何、それ。離して!あたし行かなくちゃ」



ブンブンと掴まれた腕を
あたしは必死に振った。

なのに、

佐々木くんの手の力は
増すばかりで。


「お母さんが、早く来なさいって言ったの。慌てた声で、そう言ったの」

「っ」

「…あたしは、瑛司のとこに行かなくちゃいけない!」


涙目で都築が
俺を見た。

泣いてるくせに、
力強い目で。


だけど、

今行かせたら都築は
もう俺と話さないかもしれない。



「…行く、な」

「…っ」

「行くな…!」


気づいたら俺は
自分の感情を都築にぶつけてた。