17歳─恋のはじまり─

泣きながらバタバタと
千紗が廊下を走ってく。


「っ」

瑛司は全部知ってたんだ。

知ってて、
あたしを好きだと言ってくれた。

今思い出せば、

瑛司が何であの時あたしを
引き止めようとしたのか

その理由が分かった気がする。



ドンっ…


「いって…」

「!佐々…」




無我夢中で走ってたからか
あたしは全力で

偶然通りかかった
佐々木くんにぶつかったようだ。


驚いて千紗が顔を隠した。


「何だその顔は」

「っ、」

「………」



目の前でただ顔を隠しながら
泣く千紗を見て、

佐々木が何かを察して。


ポンっと千紗の頭に
手を乗せた。