17歳─恋のはじまり─

「だけど…、もう俺の負け」

「………負けって、」

「カッコいいとこ見せるって、言ったけど…もう負けだわ」

「………」

「だから、俺を振って」



真っ直ぐとあたしの目を見て、
瑛司がそう言った。


“振って”


突然の言葉に、
千紗が固まる。


「…そしたら、俺前へ進める。だから
ケジメをつけるために振ってほしい」

「瑛司………」



ずっと瑛司へどう返事をするべきか
迷ってた。

どう言えばいいのか
考えてた。


なのに…。

言葉が出ない。



「あた、し……」

声が、震えた。