「いいなぁ…舞踏会。」




最初に出た言葉がそれだった。



「私だって行きたい、王子様に会いたい。」



「でも…」



自分の格好を鏡で見た。



ボロボロの服と靴、ボサボサの髪の毛。



華やかな舞踏会になんて、とても行けるような格好ではない。




「また会うなんて、無理なのかなぁ…。」



目尻に熱いものが溜まり、
自然と頬を伝わった。



「あれ…なんだろ…。」




目を擦っても止まらないばかりか、どんどん溢れてくる。




「~っ…。会いたいよぉ…。」




声を抑えながら部屋の片隅で泣いていると、いつの間にか私は眠りについていた。




「ん…」




目を覚まして窓の外を見ると、もうすでに日は沈んでいるようだった。




「今頃お城は賑わっているのかな…。」



胸がキュッ、と苦しくなった。




「私も行きたいなぁ…」




舞踏会に行くということを未だ諦めきれずにいた私は、自然とそう呟いていた。










その瞬間_____________
















カッ____









部屋中が光に包まれた。






その光はとても眩しくてつい目を閉じてしまったが、恐る恐る目を開けてみると…















一人の少年が立っていた。