「い、いえ、なんでもないです…。」






彼女は慌ててごまかした。



きっと、変な風に思われたのかと心配になったんだろう。



本当にわかりやすい。




そんな彼女を見ると、



「くすっ…」



僕も自然と笑いがこぼれた。




「ふふ、あなたは思っていることが顔にすぐ出るみたいですね。」



「え!?」



「とても純粋で、可愛らしいお方だ。」




「~~っ!!!!」





真っ赤になった顔が本当に可愛くて、僕は口元の緩みを抑えられなかった。





けれど、このままこうして笑いあっていても何も変わらない。





意を決してこほん、と咳払いをした。





「あなたが舞踏会のことで心配する気持ちもわかります。だから…」







ふわっ






「一緒に舞踏会へ行きましょう。」











そう言って、僕はまた彼女を連れ去った。











先ほどとは違い、お姫様抱っこで___