ごくり、唾を飲み込んで覚悟を決める。

ちらっと琴羽を見ると、満面の笑みでこちらを見ていた。

蓮はしばらくお粥を見つめていたが、やがてスプーンをそっと口に近付けた。


「(ぱく…)」

「どぉどぉ?!」


身を乗り出して感想を待っていた琴羽は、直後がしぃっと頭を鷲掴みにされた。


「?!」

「おいてめぇ」


なぜか俺様モード全開な蓮がめちゃくちゃ睨んでくる。

顔が近い。


「ちょ、なによ…っ!!」

「ただでさえ風邪で免疫力ねぇっつ-のに、こんなもん食わされたら確実死ぬっつ-の!! てめぇ殺す気か?!」

「え…?え…?」

「ちっ」


ひたすら頭の上に?を浮かべる琴羽に舌打ちして、蓮はスプーンでお粥をすくった。


「な、なに…」

「食え」

「は?!」


口にスプーンを近づけられる。

逃げようとしても頭を掴まれているため動けない。


「こ、これは蓮に作ったの!! だからアンタが全部食べなさいよっ!!」

「俺が分けてやるっつってんだ、問題無いだろ?」

「あるから!!」


しかし琴羽の抵抗も虚しく、無理矢理食べさせられ…


「うぶっ」


なんとも言えない味と食感に、慌てて口を抑えキッチンにダッシュした。


「こほっこほっ」


まさかこれまで酷いとは…。

確かにお粥は水だった。

いや、もはやお粥では無かった。