「………」


蓮は黙って目の前に置かれた物体を見つめていた。

そこへキッチンへスプーンを取りに行っていた琴羽が鼻歌混じりに戻ってきて座り込む。

蓮はこほん、と咳払いして念のために聞いてみた。


「な、なぁ…琴羽…」

「ん-?」

「これって…何なのか教えてくんね?」


ひきつる頬を無理矢理上げて、微笑んでみる。

琴羽は、きょとんと蓮を見つめた。


「お粥に決まってんでしょ」

「だよな…」


はは、と笑って琴羽から受け取ったスプーンで一口分すくってみた。

とてもじゃないがお粥には見えない。


「もはや水じゃ…」

「いっぱい食べてね、たくさん作ったから」


にこにこ琴羽が見つめるので、蓮は口を閉ざした。

やばい、期待されている。