「おい」

「……っ」


低く呟き春也の胸ぐらを掴む。

春也は苦しげに蓮を睨んだ。


「…んでだよ、てめぇも俺と同じだろ!?」

「ざけんな。俺はもう手を洗ったんだよ」

「あいつが辛いこと忘れたいって言ったから俺は…っ」

「どうせ金のためだろ!!」


蓮が怒鳴った。

びくっ、と琴羽の肩が震える。


「あんな奴等にいつまで従ってんだよ。いい加減…「お前とは違う!! 逃げたりしない!! こうでもしなきゃやってけねぇんだよ!! お前と違ってなぁ、親に金もらったり、好き勝手出来ねぇんだよ!!」


春也の言葉に、蓮の手がぴくっと反応した。


「……」

「だいたい、俺はあんたみたいに酷いことはしてねぇよ?」


春也はにやっと怪しげに笑った。


「適当にターゲット選んで、惚れさせて、薬やらして、金を貰う。これがあんたの手口」

「黙れ」

「女なんて所詮そんなもん。そう言ったのは誰だっけ?」

「黙れ!!」


蓮が叫んで拳を振り上げた。

咄嗟に琴羽がそれを止める。


「離せっ…」

「駄目だよ!! これ以上したら、蓮まで捕まっちゃう!!」

「うるせぇんだよ!!」

「蓮!!」


ぱしんっ、と乾いた音が響いた。

しん…と辺りが静まり返る。


「……」


ぽかん、と蓮がひっぱたかれた頬を押さえながら琴羽を見つめる中、琴羽は携帯電話を取り出した。


「殴るんならさっきので十分でしょ!! あんた達が騒いでる間に警察…呼んだから」


春也に向かってべっ、と舌を出す。

春也は唇を噛み締めた。











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