蓮は教室に入ると、そのまま自分の席に向かった。


「おい、馬鹿女」


ドカッと椅子に座り、机に頬杖をついて琴羽に声をかける。


「珍しく早く来たと思ったら、何よその呼び方」

「お前、昨日の作戦は実行出来たわけ??」


琴羽の抗議を無視し、問いかけると、琴羽は音をたてて固まった。

その様子に、蓮は頭が痛くなる思いだった。


「…おい」

「いや、あの…」


2人の様子に、比奈と優がそっと離れる。

巻き込まれないための避難だ。


「いいか、直球で言う」

「なによ」

「もう休日に誘うなんて言ってらんね-んだよ」

「は??」


きょとん、とする琴羽。


「さっきそこにいたけど、未花ってやつ」

「えっ!?」


ガタン、と琴羽が立ち上がる。


「さっきだって。もう帰った、教室に」

「なんで声かけてくれなかったんだろ-…」


しゅん、と椅子に座り直す琴羽。


「声かけずらかったんじゃないの。あんた達、結構盛り上がってたし」

「え??」

「…それにそいつ、あんたのこと…」




――…親友なんかじゃ…、ない…です…




「……」


蓮は、そこで言葉を切った。


「なによ。私のこと…??」

「いや、やっぱいい」

「はぁ??」


なんなのよっ、とでも言いたげな視線を蓮に送っていると、チャイムが鳴って担任が教室に入ってきてしまった。


「とにかく、お前は今日中にそいつ誘っとけ」

「え…??」

「いいか、これは命令だ」

「めッ…!?」




命令って…

あんた何様なのよ-!!