「……」


自分を見つめる女子生徒。


「誰、お前」

「あ、あの…この前キーホルダー拾ってもらった…」

「キーホルダー??」


ポケットに手を入れつつ、記憶を振り替える。




キーホルダー…

キーホルダー…




「あ」


思い出した。

探してたのを俺が見つけたんだっけ。


「あぁ、あんた…」


未花を指差す。


「もじもじ女か」

「へ??」

「いや、こっちの話し」


これは俺しか分かんなかったんだ。

…と考え直し、それ以上はあえて言わないでおく。


「あんたもしかして、井上未花??」

「な、なんで私の名前…」


かぁ…と未花の顔が赤くなる。


「あいつに聞いた」

「あいつ…??」


首を傾げて蓮を見る。

蓮は顎で、教室で比奈達と談笑中の琴羽を指した。


「琴羽が…??」

「そう。親友なんでしょ、あんたら」


琴羽から未花に視線を移すと、未花の表情が曇っている。


「親友なんかじゃ…ない、です」


敬語…??


「…です…か…」


なぜか俺も敬語で返す…。

未花は、一瞬寂しそうな表情で琴羽達を見た後、蓮に頭を下げて駆け去って行った。


「……なるほどね」


蓮は、なにか察したようにその姿を見つめていた。