「おはよ-」

「あ、琴羽。おはよ」

「おはよぅ」


教室に入ると、比奈と優が近付いてきた。


「いつもより早いね、どうしたの??」

「あぁ。今日は未花と一緒じゃなかったし」


カタン、と椅子に座って教科書を取り出す。


「喧嘩??」


比奈がしゃがみこんで、机に手をついた。


「違うよ-。用事とかじゃない??」


鞄を机の横にかけると、比奈に微笑む。

優も比奈の隣に立ちながら、琴羽の頭に手を追いた。


「連絡してくれれば、うちら一緒に登校したのに」

「えっ??」

「比奈も!! だってさぁ、1人で登校とか寂し過ぎッ!!」

「そうかなぁ…」


いまいちついていけない琴羽に、比奈は頷いた。


「そうなの-!! だから今度からは比奈たち呼んでね」


にっこり微笑む比奈と優。

琴羽もつられて笑った。


「ありがと…!!」







その様子を、教室の入り口から見ていた生徒がいた。


「……」


友達2人に笑いかけられている琴羽。

幸せそうに笑って。


「…琴羽…」




やっぱり…

私といてもつまんない??

その子達の方がいいの…??




拳をぐっと握りしめる。


「……ッ」


耐えきれずに、振り返ろうとした時だった。


――ドンッ!!


「きゃッ…」

「あ??」


教室に入ろうとしていた生徒に当たってしまった。


「…ごめ、なさ…」

「…あぁ、平気…」


頭を下げる未花に、素っ気なく返す。

未花は顔を上げて、目を見開いた。


「あ…小宮君…」

「…??」


教室に入ろうとして、名前を呟れる。

蓮は足を止めた。