「未花いる??」


放課後、さっそく未花の教室に顔を出す琴羽。


「未花なら、もう帰ったよ??」


入り口の近くで話していた2人が答えてくれた。


「え…??」

「……??」

「…!!あ、ありがと!!」


驚いて声を漏らす琴羽。

首を傾げた女子生徒に笑って、琴羽はお礼を述べると昇降口に急いだ。






《留守番電話サービスに接続します…》


琴羽は、先程から繰り返す音声にため息をついた。


「あっれー??」


おかしいな、と訝しげに携帯の待ち受け画面を見つめた。

何度かけても出ない。


「バイトかな??」


ま、いっか。

また明日誘えばいい。

琴羽はパタン、と携帯を閉じた。







「……」


待受画面に表示された不在着信を、未花はしばらく見つめていた。


「琴羽…」




なんで言ってくれなかったの??

隠し事…してたんだね。




やがてパタンと携帯を閉じた。


「未花、ご飯だって」

「あ、うん」


呼びに来た姉に笑いかけて部屋を出る。

携帯は机に置かれたままだった。