「いっただっきま-す」


屋上に着いて、手を合わせる琴羽の横で、フェンスに背中を預け珈琲牛乳を飲む蓮。


「あち-…」


屋上には、もちろん屋根がない。

直射日光を浴び、蓮はぐったりと呟いた。

蝉の大合唱が、更に暑さを倍増させる。


「よかった、あんたのこと待ってなくて」

「??」

「こんな炎天下の中待ってたら、干からびてるよ…俺」


ちう、とストローで珈琲牛乳を吸いながら呟く。


「だから、ごめんってば。未花に会ったから話し込んじゃった」

「みか…??」


誰それ、と蓮が顔を上げる。


「井上未花。私の昔からの親友だよ。クラスは離れちゃったんだけどね-…」


しょぼん、と卵焼きを口に含む。


「ふ-ん。…で??」

「へ??」

「走ってたけど、よかったわけ??」


そ-いえば。

朝も比奈達に同じことを言われた気がする。


「……」


黙り込んでしまった琴羽を見て息をつく。


「あんた不器用だから、俺ばっか気にしてると友達の方が手抜きになるんじゃない??」

「…そぉかなぁ…」

「…あんたの性格上、そうだと思うけど」


確かに最近、未花と全然出掛けていない気がする。

入学する前は、毎週といっていいほど買い物に出掛けていたのに。

朝といい、さっきといい…やはり未花のことをほかっているのかも。