次の日…。


「おはよぉ」


眠たい目を擦りながら、教室へと入っていく琴羽。


「おはよ…って、眠たそぉだなぁ…」

「うん」


蓮が小さく笑う。


「昨日頑張り過ぎましたか?」

「うん。でも数学は終わったもん」

「へ〜」


驚いた声を漏らす蓮。

しかし琴羽には言い返す気力がなかった。






あっという間に放課後。

ほとんど寝ていたため、記憶が曖昧な琴羽。

教室に蓮の姿はない。

蓮が来るまで寝て待つことにした。






「…は、こ…は、琴羽!!」

「ひゃあ!?」


耳元で叫ばれて琴羽は飛び起きた。

顔を上げると、蓮が呆れた様子で立っていた。


「大丈夫か?窓側、日に焼けん?」


ちょうど夕日が当たって暑い。

蓮が隣に腰を落としながら笑った。


「俺、何回も呼んだぞ?どんだけ眠いんだよ、お前」

「だってぇ…」


目を擦りながら、教科書を取り出す。

今日は化学。


「おし、やるぞ」

「…お願いします」


やけに気合いが入っている蓮(雰囲気を出すためか、だて眼鏡着用)に苦笑しながら頭を下げた琴羽だった。






それから毎日、蓮によるお勉強会は続いた。

さすが学年1位。

教え方は完璧で、琴羽は勉強しやすかった。

スパルタなのは別として…。