「琴羽に勉強教えてくれると嬉しいし」

「は、はい…」


ぺこり、と頭を下げる蓮。

その時、リビングの扉が勢いよく開いた。


「ただいまぁ…!!…ひゃあ!?」


元気よく入ってきた少女は、蓮に気付いて飛び上がった。


「だ、だれぇ!?」

「小宮蓮くんよ。挨拶しなさい?」


母に紹介されて、少女は恐る恐る頭を下げた。


「夏野水結(ミユ)です」

「どぉも」


蓮も頭を下げる。


「琴羽ちゃんの彼氏?」

「違うよ。ただのクラスメート」


琴羽が説明すると、水結が微笑んだ。


「カッコイイぢゃん!!」

「そぉよねぇ。お母さんもそぉ思ったの」


2人で騒ぎ出す。

蓮が唖然とする中、琴羽は時計を見た。


「そろそろ帰る?」

「あ、うん」


既に10時を回っている。

明日も学校があるし、帰ったほうがいいだろう。


「お邪魔しました」


蓮が頭を下げると、父が笑った。


「また来なさい。待ってるよ」


母も微笑んでいる。

水結は手を振っていた。


「また来てね!!」

「ありがと…」


蓮が水結に微笑んむと、2人でリビングを後にした。

玄関を出て、門まで送る。


「騒がしくてごめんね。水結が帰ってきたのは予想外だった」


琴羽の言葉に蓮が苦笑した。


「可愛い妹ぢゃん。中学生?」

「そぉ。来年高校生」

「なぁ…。舞佳さんって天然??」

「そだよぅ。ホワホワしてておっとりしてて、理解しがたいことばっかり言うの」


琴羽の言葉を聞いて、蓮が笑った。


「いいキャラしてんね」

「だよね…。お母さんの会話に付き合えるの、お父さんくらいだよ…きっと」


なんか分かるかも、蓮の呟きがおかしくて、2人で顔を見合わして笑った。