「ただいまぁ」

「……」


琴羽が玄関の戸を開けた。

蓮も静かに入ってくる。


「おかえりなさい。…あら?」


出迎えた琴羽の母親が蓮に気付いて微笑む。


「いらっしゃい。上がって?」

「いや、俺は…」

「小宮蓮くん。今日送ってくれたの」


蓮の服の裾をしっかり掴んで、琴羽が紹介する。

逃がさないようにだろぉか。


「あらあら、それはご迷惑をおかけしまして…」

「お茶出してあげて?」


琴羽の言葉に微笑んで頷くと、母はリビングへ戻っていった。

琴羽は蓮にスリッパを出してあげると、リビングへ連れていった。