俺様なアイツのしつけ方。

しばらくしてファミレスを後にした2人は、並んで歩き出した。


「お腹いっぱいだぁ」


満足気な琴羽を見て、蓮が微笑んだ。


「それはよかった」

「うん♪ありがとね」


次第に周りの景色は、賑やかな街並みから静かな住宅街へと移り変わっていく。


「蓮、家どこ」

「秘密」

「なんでよぅ」


むぅと頬を膨らませる。


「なんでも」

「…お父さん、大変そう?」

「さぁな。全然顔合わせてないから」


蓮が答えながら、空を仰いだ。


「俺、あの人苦手なんだ。なんでも完璧を求めてくるからさ」

「え…?」

「だから、今一人暮らししてる。反抗しようと思って、授業もサボってるし、制服も着崩して…とにかく、問題児で有名になった」

「蓮…」

「今思えば、気にかけて欲しかったのかもな。あの人に…」


蓮が笑った。

でも、悲しそうな笑みで琴羽は胸が締め付けられた。

こういう時どう声をかければいいのだろう。

琴羽は両親と暮らしている。

毎朝顔を合わせているし、琴羽は両親が大好きだ。

その時琴羽はあることを思い付いた。


「蓮、うち来なよ」

「……。は?」


蓮の反応は最もだ。

しかし、琴羽は伝えてあげたかった。

家族は温かいものだって。

「家近いからさ。お茶でも飲んでって」

「お茶でもって、時間的におかしい…」

「いいから!!」


蓮の言葉を遮ると、琴羽は蓮の手を掴んで歩き出す。