俺様なアイツのしつけ方。

「あ〜…疲れたしぃ…」


学校を出たのは辺りがすっかり真っ暗になってからだった。


「それはこっちのセリフ。お前馬鹿すぎ」

「うるさいなぁ」


言い返すと同時にお腹が鳴った。

慌ててお腹に手を当てる。
蓮を見ると案の定笑っていた。

携帯を見ると7時を回っていた。

お腹が空くのも当然だ。


「飯食うか」


ふと、蓮が呟いた。


「えっ!!本当!?」


嬉しさに目を輝かせる琴羽を見て、蓮は呆れた様に頷いた。


「おう」


向かったのは近くのファミレス。

席に着くと、さっそくメニューを開く。


「ん〜…どれにしよっかなぁ」


上機嫌で選ぶ琴羽を見て、蓮が吹き出した。


「ガキかお前は」

「だってお腹空いたんだもん」

「まぁ…頑張ってたしなぁ」

「蓮が怖かったから頑張りましたよ?」

「当たり前。お前くらい馬鹿な奴はあれくらいぢゃないと頭に入らないからな」

「ぢゃあ、これからも教えてよね」

「い〜けど。他の奴だと可哀想だからな」

「どぉいう意味よ」

「だってお前、一回教えただけぢゃ理解してくんないぢゃん」

「う…」


図星。

何も言い返せない。


「ご注文はお決まりですか?」


私はスパゲッティを、蓮はオムライスを頼んだ。


「オムライスとか…可愛いんですけど」

「うっせ」


照れる蓮を見て、ふと休み時間の比奈達の話を思い出す。


『小宮君の色んな表情見れてズルイ』


そぉいえば、蓮はクラスでは全然喜怒哀楽がない。


「…なんだよ」

「…!!」


蓮の顔を見つめ過ぎた。

蓮が不機嫌そうに顔を反らす。


「見んなよ」

「ごめんごめん」


笑ってごまかしていると、頼んだものが運ばれてきた。


「いっただっきまぁす♪」


あまりに空腹だったからか、琴羽の頭の中から比奈達の言葉はどこかへ飛んでいってしまった。