「いつも騒いでる奴らはまとまってみんな一緒のクラスになってたのに俺だけ離れちゃって。しかもあいつと一緒だし。もう終わったと思ったね」
「それは…災難かも…」
同情して苦笑する。
「…まぁ、でもあいつのお陰で助かったこともたくさんあんだよな」
「……?」
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中学2年の夏…。
「おぅ、陽斗」
「はよ」
登校した陽斗は、色んな生徒に声をかけられながら教室に向かう。
「陽斗君おはよう」
「おう、はよ」
入学したときから誰でも遊びに誘って学校生活を送ってきた陽斗には顔見知りが多い。
そのため信頼も熱いのだ。
教室に着いて扉を開けると、それぞれ会話をしていた生徒達が一斉に陽斗を見た。
「おはよ、あっきと-っ!!」
「あきちゃんおはよ-っ」
「おう、はよ-」
笑顔で挨拶を返しながら、席へ向かいかけて足を止める。
自分の席のひとつ前に奴はいた。
(小宮蓮…だっけ?)
クラス替えをしてからそろそろ夏になる。
大体のクラスメートの名前を把握した。
一通り会話をしたつもりだが、まだ小宮蓮だけは会話をしたことはない。
ただ、女子にはカッコよく見えるみたいでちょくちょく小宮蓮の名前が出る。
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