blue moon

「青夜のモノは
渡せません」

愛想は良くしたが
目は笑ってなかったはずだ。

「どちらさん?」

中年の男の人は
上から下まで
ナメ回すように見ながらきいてきた。

「青夜の婚約者です」

アタシは
胸をはり答えた。

「あんな
クズみたいな人間の女もどうしようもない人間なんやろな」

さっきまでは
ナメ回すように見ていたのに
次は目線をはずした。


「青夜にあやまって下さい」

アタシは
目をそらすことなく
言った。

「青夜のしてきた事は
悪い事かもしれない。
それでもあの子は
今のアナタみたく
人を簡単にキズつけるような事を言いません」

まっすぐ見つめ
決して目をそらさなかった。

あやまれと言っても
こうゆう人が
素直にあやまるわけがない。

そんなことは
はなから分かりきっていた。