「うん。何?何?」

きっと今、アタシの目は好奇心でいっぱいだ。

「オレ、刑務所から
出てきたばっかり」

「ウソだー!!」

アタシは笑いとばした。

「ウソちゃうよ」

青夜の真剣な顔をみて
本当の話だと確信した。
頭がクラッとして
心臓がドキッとした。

もしも凶悪な殺人犯ならこのあと豹変して
殺されるかもしれない。
どこかの山奥に捨てられるかもしれない。

「なんで?」

そう聞き返すのが
精いっぱい。

「人の命をうばった」

さらに心臓がドキッとした。

「なんで?」

アタシは一つの言葉しか出てこない。

「ケンカで相手の命を
うばった」

アタシから
"なんで?"って
言葉も出なくなった。

「どん引きしたやろ?」

青夜は何だか悲しそうな顔をしていた。

「別に引いてないよ」

ムリして答えたが、なんとなく受け入れてる
自分もいた。