夏が終わり
夜風がつめたくなってきた。

一年中で一番人が恋しい季節だと感じるのは
多分アタシだけじゃないはず。

アイツと出逢った夜と
同じ風のニオイがする。

「ねぇヒマ?」
「何歳?」
「名前は?」

深夜のコンビニ帰りに
ナンパにあうとは思ってもみなかった。

こんな事なら徒歩では
なく自転車で来ればよかったと少し後悔。

白い車の助手席から顔を出し声をかけてきた男。

黒髪の短髪。

服装は今風だが
何となく清潔感がある。

パッと見はナンパをするようにはみえない。


むしろ運転席にいる男の方が
チャラチャラしている。

「名前は?」

このナンパ男は
どうしても名前が知りたいらしい。

「乃亜(のあ)」

シカトをして怒らせるのが怖かったから
素直にこたえた。

「俺は青夜(せいや)」

ちょっとだけ格好いい名前に偽名ではないかと疑った。