「これは…本当なんだよ…私…神です…」

 すると私はまた、光の粒子となって空に消えてゆくのであった。だが、それは違った。消えてゆく私をリョウは肩を押さえつけ、一念に消えるなと唱えていた。しかしそれは無理なことだ。私は消えるのではない。また、戻るのだ。

「大丈夫だよ、リョウ。私、戻るだけだから…また、戻るだけだから…」

 リョウに教えた容量は大きく、ほぼすべてを知ってしまったようだ。

「…アズサ…ガンバレよ」

 私は涙をこぼしてしまった。しかしそれは、悔しかったり、悲しいからではない。

 私は過去を振り返ってみると、リョウに『アズサ』と呼ばれたのはいつのことだろうか。確かに言えること。この一年は『アズサ』と呼ばれず、『お前』だった。私はそれを気にせずに受け止めていた。本当は心の奥底でひっそりと泣いている私が、事実、化面をかぶらされて、さらに縛られていた。本当の自分と向き合われず、影が私の前に出ていた。

「じゃ…」

「健闘を祈るぞ…」


「ハハハ…リョウってやっぱり最高に面白いね」

 運命は、変えられない。

「そうだろ…ハハハ」

「ハハハ…」

 木の陰から、ひっそりと息を潜める人はいた。

「…うん―」

 星がまた、無数に散らばっていった。