シーソーゲーム

 勝利がほど遠くに思えた。

 いくらリーグ戦であっても、こんなチームには勝てるはずがないと思った。野球部フルメンバーである同学年のクラスがあり、その上、野球部が五人ほど入っている三年のチームと同じリーグなのだ。

 一リーグ四チームで、とりあえず、一チームに勝ったとしても、他の二つには負けてしまうことだろう。こちらとて、守りは固くても、攻撃はどうもよくない。まして約半分を女子で埋めている。鮭が熊にでも勝つようなことだ。勝った時には半分の体しか残っていない。

 俺とミズキは張り出されているリーグ表を見て肩を落とし、重いため息をついた。

「これって、ちゃんと平等に作られてるのかね」

「いや、それはないと思うぞ」

「まあ、実際そうだな」

「どんなことになるか分からないさ」

 アズサは俺とミズキの背中を思いっきりたたいた。正直それは痛く、いつもやっていることなのだが、いつになっても慣れないものは慣れない。

「また力をつけたな」

「…何よ、それ」

 アズサの頬が膨らんだように見えた。

「冗談だって。行くぞ、ほら」

 俺は笑いながらアズサの肩をたたいて、ムッとしているアズサを呼び寄せた。ミズキはその後ろを歩いたろう。俺たちは試合をする場所へと向かった。

 野球場として二面しか取れない。だが三回コールド五点で延長なしの五回までで引き分けであれば、特別延長のルールをのっとるという。となれば、試合の回転は早い。二日で十分に終わる。去年だって終わったのだから終わるか。

 俺たちは第一試合目。相手はあの三年のチーム。試合前に各チームに練習時間が五分与えられるが、それは意味がないことだろう。逆に恥をさらすだけだと思う。

 それは当然的中。ライトはぼろぼろ。岸にノックの玉が上がるたびに万歳で、音がしたら後ろにボールが落ちている。

 相手ベンチから野次が飛ぶ。笑いと野球をなめるなということだ。

 相手の練習はさすがだ。ミスなんてほとんどない。野球経験者がそろうチームに勝てる要素など、俺には皆無に思える。

「だめだな、こりゃ」

「そんなこと言わない。頑張ろうぜ」