シーソーゲーム

 そんな俺の考える時間だけが進む時間はテスト明けに多大な被害を及ぼしたのだが、それはそれで、貴重な時間に思えた。それにしても何を考えていたのやら。人に左右されるのはアズサだけでいい。

「どうした。ボーっとして」

「いや、何でもない」

 まだ俺は考えているようだ。考えるのを止めようと思えば思うほど考えてしまう。いわば不可抗力である。

 これから球技大会だというのに、何を考えているのか。いつだって試合や何らかの大会の前には邪念を払って集中している。

「ほら、いくぞ」

 ミズキは教室のドアの前で呼んだ。

 俺は気のない返事をして、邪念を取り払いきれないことに気付いていたが、これでいいのかもしれないと自分を慰め、ミズキの後を追った。

「今日はどうなるかな」

「別に…楽しめりゃいいじゃん」

 階段を降りて、昇降口に出る。今日は久しぶりの見る限りに暑そうな太陽がグラウンドを照らしている。

 今から胸は高鳴っている。開会式でも、試合直前というわけでもなく、あの無性のドキドキ感だ。俺は昔から汗っかきで、緊張も人一倍早く感じる。そのおかげで集中も人一倍であったが、今もこのドキドキ感は慣れない。

 外に出ると、予想通りの気温と湿気が待っていた。しばらく雨と曇りが続き、そして昨日の夕方から晴れが続き、グランドの水はけもいいほうなので、グランド自体はいいコンディションだ。だが夏のように、今日は特別に日差しが厳しい。まるで夏のように、地面からむわっと蒸気の塊が襲ってくる。それには少々腰が砕けそうになる。もう汗が出てきた。