シーソーゲーム

 アズサはテストの出来がよかったらしく、上機嫌だ。それにしてもあれには驚いた。

 テスト前、いつも俺たちの家の誰かの家で勉強会をするのだが、アズサはテストに出てくるヤマをすべて当てたのだ。余計なところは言わずに、すべてを当ててしまった。こいつは何者だとまた考え直す機会をもらったが、不思議とそんな考えも消え失せていた。小海の言ったことと言動理由があまりに考えさせられて、いや、不思議と頭から離れてくれなく、ちょうどアズサの言った範囲の勉強ができなかった。気付いた時には、自分のできる限りをやろうという段階に入っていた。おかげでいつもより悪い点数をとっていることであろう。ミズキはしっかりアズサの範囲を勉強していたらしく、アズサと同様浮かれている。

 俺はそんな二人の様子を見て、特に何も感じなかった。本来、悔しいなどと何か感情が心に表れるはずなのだが出てこない。これは俺の病気なのだろうか。考えることをここまで夢中にさせたことはない。自分なりの哲学は誰だってやるよくある話だと思うが、人から言われた課題のようなものを考えるのはあまりない。まして今まで考えたことがない。
小海の冗談は冗談ではなくなって、俺はそれを真正面から受け止めている。俺は小海が考えろとでも言っているように感じていた。

 しかし俺の結論、答えは見えなかった。その単純な質問、この世に何が住んでいるのかという質問が、逆に俺を考えさせた。揚げ足や屁理屈など、そんなことはまったく考えずに、素直にどんな生き物が住んでいるのか考えていた。それでも人間、動物、植物以外は頭に出てこない。住んでいるものであるのだから、植物ではだめか。いや、住んでいるのは生きていることと同じだろう。こんな感じで行ったり来たり、右往左往に五十歩百歩を繰り返していた。なかなか日進月歩のようにはならないものだ。