シーソーゲーム

 そんなことは決まっている。生物である。人間、動物、植物の他にはない。揚げ足を取って石などの無生物も入れてしまうか。そんなことはないだろう。小海は揚げ足を取ったり冗談などはあまり好きではない。むしろ嫌いと言ったほうがいいか。

 小海の一言で、二人しかいないが、空気が見事にしらけた。それよりも静まった。まさか冗談の嫌いな小海がこんなことを言うなんて、という意外なことに俺は驚いて表に出してしまっていたのだ。水から口を離し、唖然として、眉間にしわを寄せて、いぶかしげな表情をつくっているのに俺は気付いていなかったが、目はしっかりと小海を捉えていることは分かった。

 小海はまったく動じていない。自分の言っていることが果たして分かっているのか。俺は小海の脳を是非スキャンしてみたいと思った。そうすれば傷かガラスかねじでも混合しているかもしれない。もしくは足りないか。

 冗談嫌いの小海にしては変なことを言った。また続けてテンポよく言った。

「分からねえか、やっぱ。まあ、気にすんな」

 小海は行こうと俺に呼びかけ、俺はそれに答えた。しかし小海の質問には答えていないままだ。なんの意図があってこんなことを言ったのか。小海との付き合いを初めから確認したいと思った。

 教室までの道のり。小海は一言も冗談を言わなかった。そして水飲み場で言った話題を口に出そうとしなかった。俺も引っ張り出そうとは思わなかった。ミズキにさえも相談しようとは思わない。これは自分ひとりで考える問題なのだと判断した。