アズサの横顔を眺めているのもいいが、俺はしたいことがあり、スッと立ち上がった。
それを見ていたミズキは俺に言った。
「どうした」
アズサは何をするか察知したかのように、こっちを横目で見て、その目はなにか物寂しげであった。そのような目になった時、アズサの声はだんだん小さくなっていった。
俺はそのことに気付いていながらも、やはり行きたかった。
「いや、トイレ行ってくるわ」
ボックスを出て、俺はトイレへ向かった。
今頃どんな顔をしているだろうか。ドアを開けるとどんな顔で待っているであろうか。俺は考えられる限り、アズサの顔を想像していた。物好きだと思われるが、俺が出て行った時の顔がどうも気がかりであった。
しかし俺は何食わぬ顔で部屋に戻った。どんな表情をしているかと思えば、のんきに元気よく、アズサは歌っていた。
そして俺はミズキの隣に座り、一つ質問を聞いてみた。
「これ、何曲目だ?」
「三曲目の終わりだ。それにしてもお前、結構長くトイレにいたな。なっげえ大便だな」
「は?俺は…」
三分ぐらいしか経っていないと思っていた時間は結構経っていたようだ。一曲五分と換算すると、この曲はもうそろそろ終りそうなので、約十分ということになる。しかしそんなにいた覚えはない。これはバカでも分かる。時間の感覚なんて、三秒と十秒が大きく違うように、大体は肌で体で覚えているはずだ。
奇怪なこともあるんだな、と思っていると、アズサは歌い終わった。そしてこちらを振り向き、カラオケを口元に近づけて言った。もとの笑顔はすっかり取り戻したようだ。
「リョウ、歌お」
俺はアズサに立たされ、ミズキに尻を押されて、なすすべなく歌うことになった。
こうして俺たちは歌いに歌い散らし、六時間近くそこにいた。大体、七十四曲ぐらい歌った。時間が時間なので、俺たちはぐったりしたようで帰路につこうとした。もう声が枯れたから、出てきたというのが本当の話だが。
それを見ていたミズキは俺に言った。
「どうした」
アズサは何をするか察知したかのように、こっちを横目で見て、その目はなにか物寂しげであった。そのような目になった時、アズサの声はだんだん小さくなっていった。
俺はそのことに気付いていながらも、やはり行きたかった。
「いや、トイレ行ってくるわ」
ボックスを出て、俺はトイレへ向かった。
今頃どんな顔をしているだろうか。ドアを開けるとどんな顔で待っているであろうか。俺は考えられる限り、アズサの顔を想像していた。物好きだと思われるが、俺が出て行った時の顔がどうも気がかりであった。
しかし俺は何食わぬ顔で部屋に戻った。どんな表情をしているかと思えば、のんきに元気よく、アズサは歌っていた。
そして俺はミズキの隣に座り、一つ質問を聞いてみた。
「これ、何曲目だ?」
「三曲目の終わりだ。それにしてもお前、結構長くトイレにいたな。なっげえ大便だな」
「は?俺は…」
三分ぐらいしか経っていないと思っていた時間は結構経っていたようだ。一曲五分と換算すると、この曲はもうそろそろ終りそうなので、約十分ということになる。しかしそんなにいた覚えはない。これはバカでも分かる。時間の感覚なんて、三秒と十秒が大きく違うように、大体は肌で体で覚えているはずだ。
奇怪なこともあるんだな、と思っていると、アズサは歌い終わった。そしてこちらを振り向き、カラオケを口元に近づけて言った。もとの笑顔はすっかり取り戻したようだ。
「リョウ、歌お」
俺はアズサに立たされ、ミズキに尻を押されて、なすすべなく歌うことになった。
こうして俺たちは歌いに歌い散らし、六時間近くそこにいた。大体、七十四曲ぐらい歌った。時間が時間なので、俺たちはぐったりしたようで帰路につこうとした。もう声が枯れたから、出てきたというのが本当の話だが。



