シーソーゲーム

 アズサは元気なさそうな顔で席に座ると、深いため息をついた。やはり何か深い悩みを抱えているようだ。しかもこの様子だと、話す気配がしない。

 今の俺たちに、はたして何か話すことがあるだろうか。しかし俺は、昨日からアズサが気になってしょうがなかった。おかげで昨日は大して眠れなかった。しかしこれは恋愛感情からこういうことになっていることではないことは、十分といえるほど分かっていた。古くからの幼馴染からの故の不眠だと思う。そして俺は初めて話しかけるかのように、強張ったように言った。

「どうしたんだ、そのポニーテール」

 アズサは外をぼんやりとした様子で眺めていたが、その言葉にこちらを見た。

「…前と変わらないわよ」

「あ、ああ、そう。ポニーテールにしては…テールが短すぎじゃないか」

 アズサは何も言わず、一つため息をすると、また外を眺めた。今日の声は、昨日の朝と比べると、百で割った以上に暗い。

 俺たちはそのことに圧倒されていた。声量か、もしくはその声からか、とりあえずいつもと違うアズサには初めから圧倒されていたに違いない。

「本当にこいつ、どうしたんだ」

 ミズキは俺にひそひそと耳元で話した。俺はさあ、と手でジェスチャーをし、アズサの背中を見ていた。

 その後も一向に何も話そうとはしないアズサに対し、俺たちは時間の過ぎるままに過ごしていた。