こうして俺は電話をかけなおすわけでもなく、携帯を手に持ったままベッドに仰向けに倒れこんだ。そしてアズサのことを考えた。なぜあのような電話をしたのか。もしかしたらおふざけか。もしかしたら記憶喪失なのか。しかし今の俺にはどちらも当てはまらないような気がした。しばらくそんなことをずっと考えていたが、長年付き合っているアズサのことが、その時初めて分からなかった瞬間であった。
自分がふがいなく感じ、自分の顔をも見たくなくなるといった、自己を追い詰める感情に変わる。今、自分は自分に追い詰められ、壊滅しかけている。
しかし結局の原因、アズサをああさせたものはなんだろうか。よくよく声を思い出してみると、何か一人、悩んでいるような声だったような気がする。自分の原因なら、時分でどうにかなるかもしれない。しかしそれでもだめなら、今日はよしといて、明日その悩みにでも乗ってやろうと思う。でも俺よりミズキのほうが聞き手として向いているだろう。よし、明日学校に行ったら、ミズキにこのことを話そう。
俺はこうやって人事のように済ませることが多い。そして自分の嫌な癖で、治さなければならないといつも思っているが、一向に治らない。意識しているだけで、実行に移さないからだ。その時の俺には、まだそのことに気付いてはいなかった。
しかし、これはまだ、不可思議なシンドロームの前兆だとは、知る由もなかった。
「そうか…アズサが」
俺は昨日のように早く登校し、携帯をいじっていたミズキにアズサのことを話した。昨日かかってきた不可思議な会話、声。そして俺が立てた予測。とりあえず、自分の思うことをすべて話した。これが一大事だと、肌が感じ取ったからかもしれない。
「あ…あれ、見ろよ」
俺はミズキの指差すほうを見た。そこには、いつもとは違うアズサの姿があったのだ。普段は普通のショートヘアなのだが、今日は後ろにポニーテールをくくりつけている。しかしこの髪型はショートのときと比べると格段に似合っている。俺の心のどこかで、アズサに魅せられていた。俺とミズキは唖然であった。
自分がふがいなく感じ、自分の顔をも見たくなくなるといった、自己を追い詰める感情に変わる。今、自分は自分に追い詰められ、壊滅しかけている。
しかし結局の原因、アズサをああさせたものはなんだろうか。よくよく声を思い出してみると、何か一人、悩んでいるような声だったような気がする。自分の原因なら、時分でどうにかなるかもしれない。しかしそれでもだめなら、今日はよしといて、明日その悩みにでも乗ってやろうと思う。でも俺よりミズキのほうが聞き手として向いているだろう。よし、明日学校に行ったら、ミズキにこのことを話そう。
俺はこうやって人事のように済ませることが多い。そして自分の嫌な癖で、治さなければならないといつも思っているが、一向に治らない。意識しているだけで、実行に移さないからだ。その時の俺には、まだそのことに気付いてはいなかった。
しかし、これはまだ、不可思議なシンドロームの前兆だとは、知る由もなかった。
「そうか…アズサが」
俺は昨日のように早く登校し、携帯をいじっていたミズキにアズサのことを話した。昨日かかってきた不可思議な会話、声。そして俺が立てた予測。とりあえず、自分の思うことをすべて話した。これが一大事だと、肌が感じ取ったからかもしれない。
「あ…あれ、見ろよ」
俺はミズキの指差すほうを見た。そこには、いつもとは違うアズサの姿があったのだ。普段は普通のショートヘアなのだが、今日は後ろにポニーテールをくくりつけている。しかしこの髪型はショートのときと比べると格段に似合っている。俺の心のどこかで、アズサに魅せられていた。俺とミズキは唖然であった。



