シーソーゲーム

 そして時間は過ぎ、チャイムが鳴った。それと同時に、担任になるはずの教師が教室に入ってきた。しかしミズキの後ろの席は誰も座らなかった。果たしてどうしたのか。不登校、それとも遅刻か。

 担任の話は長々と続いた。まず自己紹介から始まって、担当の教科。水泳部の顧問であること。水泳部員は少ないから入るようにということ。水泳による身体的の効果。水泳部に入ってのメリットなどなど。

 話が終わるまで、俺はそれを適当に聞き流した。今の俺にはあの席に誰が座るのかということが気がかりで、そのキーワードとなりそうな言葉を拾っていたのだが、あるはずがなかった。そして始業式があると言う言葉だけを聞いて、担任は教室を後にすると、俺は重い腰を上げ、立ち上がった。結局ミズキの後ろの席は誰だか分からなかった。

「早く行こう」

 そのアズサの呼ぶ声が聞こえ、やっと動く気になった体は腰を持ち上げた。

 クラスについていくように、俺たち三人はその後を歩いた。体育館について順番に並んで床の上に座る。そしてしばらく冷たい板の上で待たされ、その間、知り合いと話をして過ごす。校長が壇上の上に上がり、つまらない話をしている。その間、俺は眠りの中にいる。目が覚めると、大して時間が経っていないのか、まだしゃべっていた。いつ終わるのかとまたうつむいて目をつぶろうとしたら、話が終わったような気がしたのでもう一度顔を上げたら、本当に終わろうとしていた。

 教室に戻り、また三人であの席のことを話す。飽きると別の話題に移る。