「ただいま…」


「お帰り!…どうしたの?なんか、元気ない?」


「……大丈夫だよ。ママ。」


ママ。…そう呼んだ瞬間、不意に泣きそうになった。


初めて裏切られた小学校1年生の時から、3年。


家族にこのことを言ったことはない。


心配かけたくないという気持ちもあったが、1番は、こんな恥ずかしいこと、言えるわけ無いという気持ちだった。


当時のあたしは、


仲間外れにされる=恥ずかしいこと。


だったのだ。


「運動会のお弁当、可愛くしよーか!」


「うん!」


そう会話した時のことが忘れられない。


あの時はまさか、こんなことになるとは想像もしていなかった。


………だけど、結局、1人でお弁当を食べたのだ。


みんなに自慢できるね!って、ママが笑った。


…自慢なんて出来なかった。


出来るはずもなかった。


だって、友達と一緒には、食べていないのだから。


「お弁当、お友達に何か言われた?」


ママが嬉しそうに聞く。


「うん!可愛いねって言われたよ!」


「そう!頑張って良かったー!」


「……うん…」


ダメだ。これ以上ここに居たら、絶対に泣いちゃう。


嘘をついた罪悪感と、嘘をつかなければいけない状況になった原因が、混ざりあって、胸が張り裂けそうになる。