「あっ!わりーぃ。」
あたしは何も言わず、ズレた机を直した。

「元何組?」
「名前は?」
「本読んでて面白い?」

その男子は、あたしにたくさん質問してきた。

「宮野唯愛」
「元5組」
「本は、読みたくて読んでる訳じゃない。」

あたしはさっきも言ったが男子が苦手。

でも、この男子は何か違った。


確かに早口で言ったけど、初対面の人の目を見て話せた。

「へぇ~!」
「俺、西川海哉(にしかわかいや)」
「元1組で、卓球部な!」
「よろしく!」

タンタンと話す西川くん。

…卓球部……かぁ……

男子が苦手なあたしにも彼氏がいた。
元カレの名前は藤井空太(ふじいそらた)。
部活は卓球部で同じ学年。

あたしと空太は、中1の5月~11月の半年の間付き合っていた。

別にお互いキライになって別れた訳でもない。
別れたのは、あたしが部活や勉強に追いやられて恋なんてしている暇が無くなってしまったからだ。