「タロウ…まさかあの時の子犬が…あなたなの?」


タロウは微笑んだ。


「思い出してくれたんだね。あの時ハルカが僕を助けてくれなかったら、きっととっくにこの世にいなかった」


「だけど…どうして人間に?」


「…ハルカに恩返しする為だよ」


犬が人間になるなんて…とても信じられないけど、タロウを目の前にして、あたしはこの人があの時の子犬だって確信した。


タロウに感じた”愛おしい”感情は…動物を見て”可愛い”って思う時に似ていた。