冷たいアイツ




―――旅行が終わって一ヶ月。


あたし達の関係は、どんどんマイナスになっていく。


口も聞かない、目も合わない。
強制的に話すときしか、話さなかった。


そんなとき、珍しく、タケが話しかけてきたんだ。


「あの~…やっぱなんでもない」


「気になるんですけど…」


しばらく沈黙が続いた。

少しして、タケが読んでいた本を閉じて、真剣な顔をした。



「実は、俺、最近よく分からなくなってきて…付き合うって何か…とか、好きってどういうことなんだ?とか、それで、この関係が、微妙になってきて…」


一言で言うと、
“別れ話”だった。


あたしは、涙腺が緩んでくるのを、必死でこらえた。

そこに、「よっ!!」って、李堵が来て。
空気読んで!!とか思いながら、必死でこらえた。

「別れよう??」

あたしは、心臓が止まったかと思った。
生きてる実感がしなかった。



「…いいよ…」  「……って言ったら、どうする??」 

あたしの返事と、タケの声が重なる。


「へ!?」


拍子抜けした。

「って言ったら…本気じゃないの??」


「そんな訳ないだろ!?」

って、あたしの頭を二回ポンポンッって、軽く叩いた。


その瞬間、一気に振るんだ涙腺が、あたしの視界を邪魔した。


「ちょっとごめん」

それだけ言って。走った。
トイレに駆け込んで、なるべく涙を流した。

安心感と不安が入り混じった、
複雑な涙。


止まりかけたころ、教室に戻った。