ビターな彼氏の甘い誘惑


しばしの無言の後、
呉羽部長は、
ふーっと息をはいた。

思わず、
後ずさり。

がしっと 部長は、私の腕をつかんで、
引き寄せる。
「きゃっ。いたっ」

・・・いったぁい。

丁度、傷の部分が
かかってズキっと痛む。


って、ここ、歩道だからっ!!
皆が、見て・・・

意外と見ていないのね。


軽くぎゅっとハグされて
「利理。」

とつぶやかれた。


かぁっとそのささやかれた耳が赤くなる。


「は、はい。」


小さく返事をすると
ふわりと解放された。

「あのな、
 ・・・・
 まぁ、その。終わったら迎えに来るから
 連絡しろよな?」

「は、はい?」

なんか、いろいろ言いたいことを
飲み込んだんだろう。

部長は、曖昧に笑った。

なんか、
初めて見る
複雑な、表情。