ビターな彼氏の甘い誘惑


「ねぇ、私の話はいいからぁ。

 和馬兄は、何しに来たの??」

あー、と珍しく和馬兄ちゃんは口ごもった。

なんだろうな、
なんか言いにくいことかなぁ。


「あの、その。」

「なによぉ。はっきり言ってよ?」

「結婚するんだ。」

「・・・・・・
 ・・・・・・・・誰が?」

「俺。」




和馬お兄ちゃんは、
はにかんで、
ぐいーっと水を飲み干した。



「ほんとぉ!?おめでとう! 
 きゃぁ。うれしいわ。」


え、ほんと?

あの、あの、和馬お兄ちゃんが?


うれしくって、
なんだか、ドキドキしちゃう。



「だから、明日 一緒に実家に帰ろうぜ?
 見に来いよ。俺の、最愛の人。」

「やだ、何言ってんのよ。
 急に休めないわよ。」

「えぇー?融通効かないな。
 お兄様のご結婚だぜ?」

「明日は、飲み会も入ってるし、
 あぁ、締め切りが近い仕事もあるから、
 週末実家に顔を出すわ。」