ビターな彼氏の甘い誘惑


「そっかー、バーテンダーだっけ?
 時間とか、合うの?」

「・・・。綾菜さぁん。それ、前の彼氏です。」


「えーー。あっ。ドライバーだっけ??
 それで、駐車場も借りたって言ってたよね?」

「そう。それで借りたんですけどーーでも、」


その彼とも別れちゃって今は・・・
と言葉を続けようとしたとき、ふいに後ろから声をかけられた。

「加藤さん。」

優しく声をかけられた。


聞き覚えのある柔らかい声は
「海人部長。」

綾菜さんが思わず、立ち上がる。
「・・・あっ。部長。
 すいません、このデータはまだ仕上がってなくて・・・
 あと、色の構成も・・・」

「あぁ、高梨さん。大丈夫。
 加藤さん、例の件なんだけどーー話せる?」

ふんわり、微笑んで見つめられた。
うん。
相変わらず、優しそうな笑顔だったんだけど
思わずひきつっちゃう。

『例の件』・・・


「はい。
 じゃぁ、綾菜さん、
 また後で手伝いにきますねぇ。」

「うん。ありがと。」

にっこり笑って海人部長に駆け寄った。

相変わらず、
にこにこしている人だなぁ。