ビターな彼氏の甘い誘惑


呉羽部長は
左手に持っていた数枚の紙を
まとめてカバンに押し込んだ。


いくつかの書類ーー


「・・・すいません。
 お仕事 しながら、待ってたんですか?」

「ん?
 あぁ。」

なんでもないというように、
呉羽部長は
ふっと笑った。


その瞬間、なんだか、

どきんって、胸が高鳴った。


不意打ちの笑顔って・・・
かーーって顔が火照っちゃうのが解る。

やだ。
別に、見とれているわけじゃ・・・きっとお酒も飲んできたからよ。
うん。そういうことにしておこうっと。




「どーせ、
 『待ってる』って伝言、聞いてないんだろ?

 海人が伝え忘れたって言ってたからな。」


「あぁ・・そういえば。
 でも、なんで直接、連絡くれなかったんですか?」

そういえば、
海人部長が『伝言が…』って言ってた・・・後で聞こうと思ったけどすっかり忘れちゃってたわ。