「ふぅん。
 抱き心地も悪くないのにな。」

頭の上で
呉羽部長の楽しそうな声が降ってきた。

っていうか・・・

これって、

その、

抱きしめられてるんじゃ・・・


動揺して、
思わず、グイッと呉羽部長を押す。

「ちょっと・・・離してくださいっ。」

「なんで?」

「なんでって・・・」

思わず抱きしめられながら、
呉羽部長を見上げる。

近距離で見る呉羽部長。

あ。意外とまつ毛が長いんだ・・・

「セクハラですよ?!」

ちょっと、
ちょっとだけ、
胸が高鳴ったけど、

そりゃぁ、あまり知らない異性から、急に抱きしめられたら
誰だって、
こういう反応になるに決まっているので、
胸の高鳴りは無視して、抗議した。